外来種シマリスとの付き合い方

 

輸入シマリス

日本の自然界において、シマリスが暮らしているのは北海道だけであって、本州以南の地域にはシマリスは生息していません。

唯一、北海道にのみ「エゾシマリス」が生息しています。

しかし近年、シマリスのペットとしての需要が増えている傾向にある中、ペット飼われていたシマリスが脱走したり、故意に逃がされたりして野生化してしまったという例が後を絶ちません。

現在私たちがペットとして飼うことができるシマリスは、外国から輸入されてきた外来種なのです。

昔から朝鮮半島からチョウセンシマリスがペット用として輸入されてきましたが、現在は韓国からの輸出が禁止されていますので、ほとんどのシマリスが中国から輸入されています。

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実際にシマリスにはいくつかの亜種が存在しますので、複数の亜種がごちゃまぜになって輸入されているのでしょう。

こうした外来種を逃がしたり、脱走させたりすれば当然生態系にも影響を及ぼす可能性が出てきます。

しかし悲しいことに、北海道以外の地域で野生の野良シマリスを見たという報告が増えているのです。

北海道のエゾシマリスと外来種のシマリスは、見た目は同じで全くといっていいほど区別ができませんが、亜種が異なる以上その性質も全く異なるのです。

例えば、エゾシマリスは冬眠をしますが、チョウセンシマリスは冬眠しないといわれています。

こうした点で考えてみただけでも、やはり冬眠しなくてもいい体を持っているチョウセンシマリスの方が、同じ環境で生きて行く上では有利であり、本来生息していたエゾシマリスを追いやってしまう危険性も十分に考えられます。

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飼い主としての責任

私たちが飼っているのは、輸入されてきた外来種の生き物であるという自覚をしっかりと持つこと。

そして飼うことが困難になったからといって、逃がしてしまうといったことのないように注意することがとても大切です。

シマリスは誰でも飼うことができますが、決して飼いやすいペットであるとは言えません。

必ずしも飼い主に懐いてくれるという保証はありませんし、秋には突然気性が激しくなって手に負えなくなることもあります。

また、とてもすばしっこい動物ですので、ちょっとした気の緩みからでも簡単に脱走してしまうものです。

ついやってしまった・・で済まされるようなことではないという意識をしっかり持って飼育する心掛けが大切なのです。

輸入シマリスは幸いにも、まだ駆除の対象になっているわけではありませんが、現在すでに駆除対象になっているリスとしてタイワンリスが挙げられます。

このまま輸入シマリスの野生化が増えれば、農作物被害などの発生により、近い将来輸入シマリスも駆除対象となってしまうことも十分に考えられます。

こうなってしまってはシマリスの輸入が困難になったり、飼育自体にも規制がかけられて二度と飼えなくなることも起こりうるのです。

こうした事態を招かないように、飼い主である私たち一人一人が日本の古来からの生態系を守って行くことが私たちの義務であるという自覚を持ち、輸入外来種と上手く付き合っていくことを忘れてはならないと思います。

 

シマリス